君色Diary
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「ただいまぁー……」
空くんたちのバスケを見た後、帰ってくれば、「おかえり」とリビングから顔をのぞかせるお母さん。
それにもう一度「ただいま」と答えて荷物を置きに二階へ上がりかけると、いきなりカバンをガシッとつかまれた。
「な、なに、お母さん……」
「今日はもう帰ってくる時間なのに、海斗がまだ帰ってこないのよ。連絡もないし、ちょっと美容室まで見てきてくれない?」
「えぇ……」
「晩ごはんまでは時間あるし…。すぐ近くだからいいでしょ」
不満げに声をあげるものの、「じゃ、行ってきてね」と言うと、お母さんに無理矢理外に出される。
驚いてドアを開けようとするものの、すでにカギがかけられていて。
「……締め出された」
あたしは諦めのため息をつくと、とぼとぼと近くの美容室へと歩き出した。