君色Diary
儚い約束
「ふー……」
ドキドキと緊張する胸を押さえて、朝の図書室の前に立つ。
廊下は誰もいなくて、静かで。
夏休みというのに、朝早くから部活をしている運動部の声が、セミの鳴き声と共に聞こえてくる。
……大丈夫。
今日はお守りもあるんだから。
窓から差し込む光に反射して、キラキラと輝く水色と藍色の髪留め。
あたしはそれにそっと触れると、ガラッとドアを開けた。
そして、いつものように飛びついてくる茉莉花ちゃんを想像して身構えてみるものの、衝撃はなくて。
「あ、七海。おはよ」
代わりに聞こえてきたのは、そんな声だった。