君色Diary
「空くんは……いつも通りだった?」


「俺……?」


「あたしは………いつも通りじゃ、なかったよ」



溢れずに、目にたまった涙で、視界はピントがずれたようにぼやける。

気を緩めれば、すぐに涙は零れ落ちそうで。



「あたし……単純、なんだよね」


「……七海……?」



そんな声と共に、ぽんっと頭に置かれた手。

前までは、こうされるのが、嬉しかった。

こうされている間は、あたしのことを見てくれているって。

でも今は……昨日の光景を思い出すだけで、悲しいだけなの。


だからあたしは……




「………寂しいよ………」





< 233 / 373 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop