君色Diary
ぽたっと、涙が膝の上に落ちた。

それは服に染み込んで、小さなシミをつくる。



「なな……」


「茉莉花ちゃんが、羨ましかった。昨日、空くんが隣の席に来ないのかって聞いてくれたの、嬉しかったよ」



いつの間にか、辺りは段々、薄暗くなっていて。

灰色の厚い雲が、空を徐々に埋めていって。



「でもあたし……返事できなかった。好きな人に積極的にって、難しいんだね」


「え……?」



空くんの顔は見えない。

ただ、驚いていることはわかる。


でも……今のあたしには、これ以上、言えないよ……。



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