君色Diary
仰向けになりながら、むにっと人差し指で口角を上げてみるものの、それはすぐに下がり落ちる。


バラエティ番組を見ても。

好きな音楽を聴いても。

いつもなら絶対笑う、お笑い番組を見ても。


あたしは土曜日から、一度も笑うことができなくて。



「自分で思ってたより……ダメージ大きいなぁ……」



ゴロンと転がって、枕に顔をうずめる。

すると、コンコンと不意にノックされたドア。

それにむくっと起き上がって返事をすれば、お兄ちゃんが顔をのぞかせて。



「七海にお客さんが来てるんだけど……」


「……お客さん……?」



お兄ちゃんの言葉に、首を傾げる。

そんなあたしを見てお兄ちゃんが少し横にずれたかと思えば。



「なーなみっ」




明るい声と共に、お兄ちゃんの横から、ひょこっと葉月が顔を出した。


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