君色Diary
「私ね、空にもメール、届いてると思ってたの。だから、何も言わなかった。図書室にいる空に、メールも電話も、なにもしなかったの」



葉月は、そのときのことを思い出すように、遠くを見つめて話す。

その表情は、どこか穏やかで。

でも、少し寂しそうで。

そんな表情を見つめていれば、フッとあたしの方に視線が向いて、目が合う。

それに思わず「ごめん……」と呟けば、葉月は呆れたように笑って。



「謝ってほしいわけじゃないよ。ただ、七海には……早く、空と会ってあげてほしいなって」


「え………?」



「空は誰よりも、七海のこと、心配してたよ」



そう言って、ふわっと笑った葉月。

それと同時に、ギュウッと胸が締め付けられて。




< 247 / 373 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop