君色Diary
「七海が、時間になっても来ないからって……空、慌てて体育館に来たの。心配そうに“七海、いる?”って」



「…………」


「それでメールのこと伝えたら、すごく寂しそうな顔して……。それからずっと、朝に図書室見に行っては、体育館でぼーっとするの、繰り返しなの」



ゆっくりと話す葉月に、あたしは俯く。

ツンとする鼻の奥に、目には涙がたまって。


なんで……?

あたし、あんなに好き勝手に言ったのに……。

あたしの心配なんて、しなくていいのに……。



「二人に何があったかは知らない。けど……空は、七海を待ってるよ」


「………っ……」




あたしの髪を、葉月の手が、優しくなでる。


その瞬間、ポタポタと涙があふれた。


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