君色Diary
土曜日の雨の中。

あのときに思う存分泣いたはずなのに、涙はポタポタとあふれていく。

葉月は泣き出したあたしに何も言わず、ただ髪をなで続けて。



「だからさ、七海……空と、ちゃんと会って……」


「……ダメだよ……」



しばらく間を置いてから口を開いた葉月に、俯いたまま首を小さく横に振る。

それに葉月が“どうして?”とでもいうかのように表情を歪めれば、あたしはバッと顔を上げて。



「だって……あたし、ひどいこと言った……。誰もなにも悪くないのに……。こんなの、怒ってくれた方が、ずっといい……!」



「なな……」



「逃げたの、あたし……。本当のことを聞くのが怖くて、空くんの言葉も聞かないで……逃げたんだよ……」



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