君色Diary
葉月は叫び終わると、軽く息を切らしながらあたしをジッと見る。

その眼差しに、あたしは動くことができなくて。



「……日記、書けてるの?」


「……それは……」



不意に出された話題に、思わず視線を逸らす。

すると葉月は、立ち上がったかと思うと、机に開いて置きっぱなしだった手帳を取って。



「部屋に入って、日記が見えて……すごい悩んでるんだろうなって、思ったよ」



スッと差し出された手帳。

開かれたページには、黒色のペンで、書きなぐった文字が並んでいて。

あたしはその手帳を受け取ると、静かにそれを見つめた。


カラフルな日記なんて程遠い、黒一面の日記。

所々、明るい色ペンを使おうとした形跡があるものの、上から黒ペンで書き直されている。


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