君色Diary
「あ………」



久しぶりに感じた、髪をくしゃっとなでる、大きな手。

時間的にはそんなに経ってないはずなのに、それはものすごく久しぶりに感じて。

空くんはそう言ってふわっと笑うと、少し乱れた髪を綺麗に戻してから、そっと手を離す。



「ってか、七海探すのに苦労した。葉月が“七海来たけど、どっか行っちゃった”なんて言うから、学校中探したのに、見つからないし。なんで体育館裏なんだよ」


「そ、それは……」


「しかも茉莉花といるし。七海見つけたらメールしろって言ったのに、なんか普通に話してるし。仲良さげだし。土曜日のはなんだったんだよ……」




脱力気味に、そう言った空くんに、ビクリと体が反応する。


そうだ……。

土曜日のこと、謝らないと……。

花火大会のことも聞かないといけない。

じゃないと、葉月と陽向くんとの約束、守れなくなっちゃうよ……。



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