君色Diary
「あの、空くん……」



ドキドキと緊張しながら口を開く。

それに空くんは「ん?」と反応して。

あたしはギュッと手を握ると、ゆっくりと口を開いた。



「土曜日は……あんなこと言って、ごめんなさい……」


「………七海」


「茉莉花ちゃん、優しかった。なのに……あんなふうに、悪く言って、ごめんなさい」



茉莉花ちゃんに謝ったときのように、俯いて、頭を下げながら謝る。

空くんは、そんなあたしをジッと見つめて。


皆がみんな、笑って許してくれるはずがない……。

空くんは優しいから……。

だから、きっと、自分の幼馴染をあんなふうに言われて、簡単に許すはずない。


怒鳴られる?叩かれる?呆れられる?



色んな考えが、頭に浮かぶ。

すると、ゆっくりと空くんの手が近づいてきて。

あたしは咄嗟にギュッと目を閉じた。


……でも、いくら待っても痛みはこなくて。



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