君色Diary
「なっ……ななな、なんっ、ですか……!」



ドキンッと大きく鳴った胸を合図にハッとすれば、慌てて体を起き上がらせて顔を遠ざける。

どうなってるんだと思って見た空くんは、その大きな体をイスごとあたしの方に向けていて。

覗き込むような感じに、上体を前かがみにしていた。




「……人の顔見て逃げるなんて、失礼な……」



空くんはそう言いながら、窮屈そうに体を起こす。

それに「ごめん」と言いながら、あたしは胸を押さえて。


ど、どうしよう……。

顔、一瞬近かっただけで、ドキドキが止まんないよ……。

顔、赤くなってないかな……。


恥ずかしくて、パッと顔を逸らす。

すると空くんは腕を上にして体を伸ばして。



「……あのさ、七海」


「な、なに?」


「土曜日言ってたことって、ホント?」


「うん……って、えっ!?」



あたしはパッと、また空くんに顔を向けた。


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