君色Diary
「いっ……てぇ……」



空くんのそんな声に顔を上げる。

倒れたはずなのに、どこも痛いところはなくて。



「ちょ……七海、大丈夫?」



その声に空くんの顔を見れば、それはすごく近くて。

ドアに背中の半分を預ける形で、床に仰向けに倒れている空くん。

その上に、あたしが倒れこんでいて。

体勢的に、たぶん頭をドアに打ったはず。

なのに、あたしのことを心配してくれてることに、キュッと胸が締め付けられる。



「…………っ」



好き。

空くんが好きなの。

わからないんじゃない。

わかってるよ。

ただ、次言うときは、ちゃんと言いたかっただけなの。

だから、そんな……冷たい顔、しないで……。


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