君色Diary
「お、お兄ちゃん!気配消すの、やめてよーっ!!」


「えぇ?俺、ずっとここにいただけなんだけど……」



そう言って苦笑するお兄ちゃんに、「もうっ」と、赤い頬を膨らませれば、不意にパラッと落ちてきた髪。

それに慌てて鏡を見れば、せっかく留めた髪が崩れてきていて。



「わっ、わわっ……!く、崩れちゃう……!」



ちょっと気を緩めればこのさま。

直そうとすればするほど崩れて、結局はやり直し。


ホント、この不器用さには涙がでるよ……。


「はぁ……」とため息をついて、もう一度、最初からやり直す。

そんな様子を見るお兄ちゃんは、心配そうにしながらも、優しく隣で見守ってくれていて。

それに安心感を抱きつつ、今度こそ失敗しないように、あたしはジッと鏡を見つめた。


……もうちょっと……。

ここを、こうやって留めれば……。


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