君色Diary
「……できた、のかな?」



キュッと最後の一本を差し込んで、恐る恐る手を離す。

鏡を見れば、空くんが褒めてくれた髪型をしたあたしが映っていて。



お兄ちゃんほどとは言えないものの、今までで、一番上手にできたはず……。

やっぱり、告白するなら……空くんが”可愛い“って言ってくれた髪形がいいもんね。



「どう?」とお兄ちゃんの方へと振り向けば、にっこりと笑って、手で“○”を作って見せる。

それにあたしは「やったっ」と笑った。


空くんに褒められたからこそ、どうしても自分でちゃんとできるようになりたかった。

今までは、なにかしらお兄ちゃんに手伝ってもらっていたけど、今日は最初から最後まで一人でできて。

それも、ちゃんとお兄ちゃんの合格付き。


それがすごく嬉しくて。


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