君色Diary
「浴衣、着替えたらおいで。最終チェックしてあげる」



お兄ちゃんはぽんっと軽く頭をなでると、そのまま部屋を出て行こうとする。

するとそのとき、お兄ちゃんのポケットから、見慣れないストラップが出ているのが見えた。



「ね、お兄ちゃん……。それ、どうしたの?」


「へ?……あぁ、これ?綺麗でしょ。もらったんだよ」




あたしの視線に気づいたお兄ちゃんが、ポケットからケータイを取り出す。

そこには、キラキラと輝く藍色の小さな石がついた、シンプルなストラップが揺れていて。


お兄ちゃん、ケータイにストラップは付けてなかったのに……。

もらったって……もしかして、茉莉花ちゃん、かな?



「もらったって……それ、女の子から?」


「えっ?……あ、いや……そうだけど……」



クスクスと含み笑いをしながら聞けば、急に慌てたように、しどろもどろになるお兄ちゃん。

それが面白くて、更にクスッと笑えば、お兄ちゃんは恥ずかしそうに首を傾げた。



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