君色Diary

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「あっ、七海っ!」



用意を済ませて家を出れば、ちょうどやってきた葉月。

花火大会の場所となる神社は、あたしの家からの方が近いからという理由で、

葉月にはあたしの家まで来てもらうことになっていた。


ちなみに、空くんと陽向くんとは現地集合。

一緒に会場にまで行くとなると、あたしの心臓がもたないから。

まぁ、それは、陽向くんも一緒ではあるけどね。



「七海、可愛いーっ!やっぱり、ピンクにして正解だったね」


「うんっ。葉月は……すっごい美人だね……」



そう言って見つめた葉月は、紺色に涼しげな花が描かれた浴衣を着ていて。

部活のとき以外、下ろしっぱなしだった髪も、綺麗に結い上げられていた。

そしてその姿は、さっきから何人もの男の人に振り向かれるくらい綺麗で。


こんな葉月を見たら、陽向くんも緊張しちゃうよね……。

陽向くんの予想は正解だったよ……。



ふと思い出す、昨日の夜に送られてきた、陽向くんからのメール。

そこには、告白を頑張ろう、という内容ともうひとつ。


“葉月が浴衣着たら絶対綺麗だし、俺の心臓持たないかも”


それはまさしく的中で。

あたしは思わず苦笑をこぼした。

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