君色Diary
「皆、どこ……?」



小さく呟いた言葉。

それさえも人の波に飲まれる。

ジワッと目の奥が熱くなりかけたとき、不意にぽんっと頭に手が置かれた。



「……なに探してんの?」


「え……?」



そんな声に顔を上げれば、優しく微笑む空くんがいて。



「そら、くん……」


「ん?」


「……よ、よかったぁぁぁっ」




驚きと安心。

それにさっきまでの緊張があふれて、思わず涙目になってしまう。

たくさん人がいる中だっていうのに、あたしはその場にしゃがみこんだ。



< 336 / 373 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop