君色Diary
「………え?」



普通に立ったときでは考えられない高さにある視界。

いつも下から見上げるはずの人やものが、すべて同じくらいの高さにあって。



「えっ……え、空、く……」


「ちゃんとつかまって。走る」


「え?………ひゃあっ!?」



いきなり抱え上げられた体。

それに一気に視線が集まれば、恥ずかしさを感じるまもなく、空くんはあたしを抱えたまま、走り出して。

人の間を縫って、神社の入り口から遠ざかれば、すぐさま裏道へと入っていく。

そして、人がいなくなったところで、空くんはゆっくりと歩き出した。


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