君色Diary
「え、えっと……空、くん……?」



誰もいない静かな裏道。

少し離れたところからは、屋台やお祭り雰囲気の曲が小さく聞こえる。

止まらなかった涙は、空くんの行動のあまりの驚きにピタリと止まって。



「め、迷惑かけてごめんなさい……。その、下ろしてくれても大丈夫、です……」



泣き止んだし、人もいない。

もう十分に歩けるのに、空くんは一向にあたしを下ろしてくれなくて。

あたしの問いかけにだって、返事はない。

ただ、どこかを目指して歩いている。


怒らせちゃった……?

どうしよう、最初っからこんなことになるなんて……。



空くんのことになると、全てが空回りして、うまくいかない。

こんな自分をどうにかしたいのに、考えれば考えるほど、うまくいかなくて。


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