君色Diary

「………っ」



遠くで、何かが打ち上げられる音がする。

一気に近づいた空くんの顔は、焦点が合わないくらい、近くで止まって。



「……んっ……」




そっと、重なった唇。

それと同時に、打ちあがった大きな花火が夜空を照らす。

そっと閉じた瞼の裏には、花火の色が浮かび上がって。


橙色に緑に黄色。

赤に青に紫色も。


色んな色の花火が打ちあがるたび、浮かぶ色に、たくさんの思い出がよみがえる。


恋をして、些細なことで、キュンとした。

片想い同士で、同盟なんか組んでみて。

皆で勉強会もして、数学の成績が上がった。

時には親友の恋の相談のったりして。

自分勝手な思い込みで、いっぱい悩んで。

皆に迷惑をかけた。

でも、皆に応援をしてもらえた。


だから……今の、あたしがあるの。



< 351 / 373 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop