君色Diary
君色Diary
「で。なんでこんなに緑色と黄色が多いわけ?」
「……えっと」
パラッと今までの手帳を見返していれば、隣から、少し不満そうな声でそう言った空くん。
それにあたしは返す言葉も見当たらずに、「ははは……」と笑って誤魔化した。
だって、片想いの間は葉月と陽向くんに相談にのってもらうことが、多かったし……。
肝心の空くんの水色にいたっては、まだ一回しか使ってないよ……。
窓を閉め切って、冷房の効いた図書室。
そこの長机に空くんと隣同士で座っていたあたしは、手帳を隠すように、カバンへそっと戻した。
そんな様子を、空くんが見逃すわけもなくて。
「……七海、今、なんで隠した」
「えっ!?い、いや……なんでもない、よ?」
「………じゃあ、水色で書いた日記、見せて」
「それはダメッ!」
空くんは、あたしのカバンに手を伸ばすと、勝手に手帳をとりだして見ようとする。
それを必死に止めると、空くんはまた、不満そうな顔であたしを見た。