君色Diary
「……七海」



小さく、呟くような声。

パタン、と手帳を閉じる音が聞こえれば、今度は両方の腕で、しっかりと抱きしめられて。


トクントクンと、優しく胸が鳴る。


そっと空くんの腕に触れれば、その力は強くなって。



「……読んだ?」


「読んだ。恥ずかしげもなく書かれた、俺への気持ちも全部」



ぽつりとただ一言、それだけを聞けば、優しい声色で返してくれる。

くるっと体を回されれば、今度は真正面から抱きしめられて。

あたしもそれに、ギュッと腕を回した。


好き……。

空くんが、好きだよ。

その想いだけで、ここまできたの。

今、こういていられるのが、信じられないくらいだけど……。

それは全部、皆のおかげ。

あたし一人じゃ、きっとどこかで諦めてた。

でも……皆が支えてくれて。

今、空くんの隣に、ちゃんといるよ。

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