君色Diary
「そういやあの手帳、水色の日記ってひとつだけだったんだけど」



再び歩き出した足音。

それに空くんの少し拗ねたような声が混ざる。

あたしはそれにクスッと笑うと、顔を上げて。



「でも、他の日記の内容、ほとんど空くんだったでしょ?」


「……まぁ、そうだけど」


「他の色は、空くんが教えてくれた想いだよ。だから水色は……」



人を好きになる気持ち。

恋をして、ドキドキする気持ち。

寂しくて、悲しい気持ち。

嫉妬して、苦しくなる気持ち。

気持ちが通じて、嬉しくて幸せな気持ち。


どれも水色ではなかったけれど、空くんに恋をして、知った気持ち。

空くんのことを、想った色。

でもこれからは、もっと空くんを知って、一緒にいたいから。




「空くんの色は、これからもっと増えるんだよ!」




これからの毎日、ずっと君と一緒に過ごせますように。


そう願った高2の夏。


広がる青空と、真っ白な雲が、輝いていた。




    ~fin~
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