君色Diary
「水原、ちょっとお願いあんだけどさ、コイツの数学、見てやってくんね?」


「……いきなり来たかと思えば、なんですか。数学?」



風見先生が声をかければ、読んでいた本からフッと顔を上げる男の子。

その人は、一瞬、女の人かと思うくらい、キレイな顔で。


見た瞬間、ドキッと胸が鳴った。

そして怪訝な顔で風見先生を見たかと思うと、そのまま隣にいたあたしへと、視線を移した。



「コイツ、この前のテストで28点とってさ。お前、数学得意だろ。教えてやってほしいんだよ」


「ちょ、かざみん先生、なに点数バラして…!?」



風見先生はさらっとあたしの壊滅的な点数をバラすと、淡々と話し続ける。


ありえないよ、かざみん先生!!

あたし、この人のこと知らないのに!

初対面で、すでに“何コイツ、ありえない”って顔してるよ……!!



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