君色Diary
「サンキューな、水原!ビシバシしごいてくれていいから!今度なんかおごってやるよ」


「じゃあ、ポカリでいいです」


「よし、了解!白崎、コイツ、水原空っつって、数学は毎回学年トップだから、遠慮なく聞けよ!」




風見先生は水原くんと、まるで友達のようなやりとりをすると、そう言い残して、図書室を出て行く。

そして残されたあたしと水原くんは、沈黙のまま、お互いに見つめあって。



「さてと…じゃ、早速やるか。時間ももったいないし。……えっと、白崎?」


「あ、白崎七海です。えっと、ホントに数学できないんで……」


「聞かなくても、この前の簡単なテストで28点って時点でわかるから」



おずおずと話すあたしに対して、水原くんは静かにそう言うと、近くのイスに腰掛ける。


えっと……こういう場合、どっちに座れば……?



長机の端に座った水原くん。

隣か向かいか迷っていれば、ポンポンと隣を叩かれて、そそくさとそこに座った。



< 9 / 373 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop