転校生は憧れの人



「憐、おはよっ!」



弾んだ、歓喜に満ちた声に視線を戻す。


そこには登校したての憐くんがいて、周りの目なんか全く気にしない様子で例の彼女は憐くんの腕に自分の腕を絡ませる。


……な、何。あの人。


ぎゅっと、胸が締め付けられる感覚がした。


当然、周りもザワザワとし始め、女子には不満の顔が伺える。



「暑い。離れてくんない?」



だけど憐くんは、特にいつもと変わらない口調で。


やっぱり、彼女とは知り合いなんだって思った。



「……憐が言うならしょーがないな」



長い黒髪の彼女は少し不服そうな顔をしたが、直ぐにスルリと腕を解いてみせた。




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