転校生は憧れの人
「はあ……」
もう嫌だ。
私は、はっきりできない自分の性格を呪う。
いつもそうだ。
人の顔色を窺って。無難な道を選んで。そのためなら、自分の気持ちだって押し殺す。
そんな私だから、肝心なときに言葉が出なくて、結局いつも後悔するんだ。
そんなの駄目だって、わかってるのに……。
「……よし!」
“大丈夫”
心の中でそう唱えて頬を叩く。
強引にも気持ちを切り替えた私は、部活へと向かって走り出した。