転校生は憧れの人
「たぶん皆知ってるし、白雪姫がいいと思います!」
そうハキハキした口調で言うのは、体育委員を務める城崎くん。
堂々とした振る舞いに、皆の視線が一気に集まったのは言うまでもない。
なんかちょっと意外……。
スポーツ万能なイメージとのギャップに驚かされる。
“白雪姫”
井原さんが黒板に書いたのを確認すると、吉野くんは再び私達の方を向いて口を開いた。
「他、意見ないですか?」
その問いかけに私はこっそり辺りを見回してみるが、誰も手を挙げる様子はない。
「じゃあ、多数決とるんで手ぇ挙げてください。白雪姫でいい人」
なんて掛け声が出されたと同時、すかさず天に向かった城崎くんの手。
そろそろと増えていく手の数に混ざり、私もそっと右手を挙げた。