転校生は憧れの人
「ってな訳で、みっちりしごかせていただきますぜ? お2人さん」
「悪いけど吉野、俺達部活行かなきゃなんないんだよね」
「そうやそうや! 流石に、サボるわけにはいかへんよなー」
世紀の発見をしたとばかりに艶やかな顔をする滝川くんは、クールに言う憐くんに口を合わせる。
「ふふ、俺を見くびってもらっちゃぁ、困るな。事前に先生から許可取ってるに決まってんだろ?」
「準備はやっ!」
今日の吉野くんはいつもとちょっぴり違う。
吉野くんがドヤ顔を決めるなり、滝川くんのツッコミは大きく宙を舞った。
彼等が残るのは必然だったのか否か、私にはそれが前者に思えて仕方がなかった。
「ねぇ、俺達も放課後練習しない?」
落合くんはスッと私の隣に現れると、にこりと笑う。