転校生は憧れの人
「た、大変だーーー!」
それは、突然の出来事だった。
ちょっと前に落合くんと部活へ向かった城崎くんが、息を切らせて戻ってきたのだ。
額に滲む、尋常じゃないほどの汗。
普段からは一切想像のできない、震えた声。
おまけに、目線は絶えず動いて定まっていない。
明らかに焦りが感じれる。
「落ち着け! 何があった」
すぐさま駆け寄った吉野くんは、じっと城崎くんを見る。
私は、その口が開かれる前に固唾をのんだ。
「じ、実は……落合が――」