転校生は憧れの人
「あ。俺が抜ける分のこびとは……」
「あのっ。私、やろうか?」
「いいの? 井原」
「うん。私鳥役で初めしか出ないし」
「……助かる。ありがとう」
どうしよう。
私、どうしたらいいの?
さっきから心臓の音が収まらない。寧ろ、煩くなっていくばかりだ。
だって……だって、憐くんが王子様役なんだもん。
落合くんのことは本当に心配だし、凄く心が痛い。
出来るものなら、彼に続けてほしいとさえ思う。
……だけど。
「ってことだから一ノ瀬、よろしく」
その声に、私はどうしようもなく心を掴まれてしまうんだ。
まだ信じられない。
けど、どこかでときめいている自分がいて。
ダメだ……何でこんなにドキドキするんだろう。
――そんな時。