転校生は憧れの人
「高月本当にすまない、俺のせいで……」
そう言うのは、松葉杖姿の落合くん。
朝登校するなり、“皆の応援くらいなら足を引っ張らないと思ってさ”なんて言う彼に、私は涙が出そうになった。
「落合は心配しなくていいよ。引き受けたのは俺なんだから」
「ありがとう……。頑張れよ」
「勿論」
コツンと音を立てて重なり合う拳と拳。
自信に溢れた憐くんの顔が目に入り、私は更にホッとさせられた。
『続いては、2年4組の“白雪姫”を上演致します』
アナウンスが聞こえ、いよいよ私達の番がやってきたことを悟る。
「4組行くぞー!」
「おー!」
もう、大丈夫。
私は、私を信じて演じるんだ。
上がりだした幕に促されるように、私は一歩一歩慎重に足を踏み出していった。