転校生は憧れの人
「どうかなさったのですか」
目を瞑っていても、その声が誰なのかはっきりわかった。
声の持ち主である憐くんは、こびと達に話し掛けたようだった。
「白雪姫が死んじゃったんです」
「白雪姫……?」
「あそこの棺に眠っています」
揃えて指を指す七人のこびとに、王子の足音は少しずつ大きくなっていった。
真っ暗闇の中で繰り広げられている物語に、自然と鼓動は速まる。
「なんと美しい。まるで、眠っているようだ」
ほのかに感じる憐くんの気配。
彼が私のことを見ていると考えるだけで、台詞が耳に入ってこないほどに恥ずかしくなってしまう。