転校生は憧れの人
「やったー!」
私の姿を確認するなり、こびと達は声を上げて喜ぶ。
「白雪姫」
「……っ!」
それは、不意打ちの出来事。
憐くんの声に振り返ってみると、温かな何かにフワッと右手が包まれる。
……て、手がっ!
「あなたのように美しい人は初めて見た。……この僕と、どうか結婚してくれませんか?」
「……は、はい」
真っ直ぐな瞳。
ただでさえ、手と手が触れ合っていて緊張が止まらないというのに、これは反則過ぎる。
それに吸い込まれそうになった私の声は、ポツンと小さく零れ落ちた。
『こうして、白雪姫は王子様と末永く幸せに幸せに暮らしました』
アナウンスの声と共に、幕が下りる。
観客席からは、大きな拍手が起こっていた。