転校生は憧れの人



――……



「終わったー!」


「お疲れ様」



無事に劇を終えた私達。


今は皆で舞台袖に集まっている。


なんとか成功した初舞台は、何とも一瞬の時のように感じた。



「はぁ〜疲れたぜ」


「いやいや、お前何もしてへんやろ」


「したわ! 言っとくけど、30分間木になりきってじっとしてんの超疲れんだからな」



劇の余韻に浸りながら、見慣れた2人の様子に頬を緩ませる。


そして、私はある1人の方をしっかりと見た。



「憐くん、ありがとう。とても素敵だったよ」



今一番伝えたい言葉を真っ直ぐ贈る。


私なんかが言うとどこかおこがましいかもしれないけど、どうしても、ただただそう伝えたかった。



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