転校生は憧れの人
「かっこよかったねー」
「え?」
「憐くんだよ、憐くん! なんか、似合いすぎてて圧倒されちゃった」
更衣室に着いて早々、梓ちゃんは笑顔で語り始める。
「うん、すっごくかっこよかった」
王子服を身に纏い、綺麗にセットされた髪――。
あの時の憐くんの姿を、思い出しただけでも頬が火照る。
「でもよかった。なずな、あの憐くんを見た瞬間緊張しすぎて台詞とんじゃったりしないか心配だったんだよ?」
「そっ、そんなこと……」
梓ちゃんの言葉に、私はビクッと反応する。
た、確かに、正直ちょっと危なかったけど……。
そんな心配をされていただなんて、何だか全部見透かされているようで恥ずかしくなった。
「あ」
着替えを終え、外に出ようとした時だった。
「なずなちゃん、ちょっといい――?」