転校生は憧れの人
「それは……何?」
「え?」
「気になるんだけど」
真っ直ぐな瞳に捉えられて、咄嗟に顔を逸らす。
き、気になるって……。
ドクドクと、心臓が大きく脈打つ。
隣の憐くんに聞こえちゃうんじゃないかと思うくらい、その音は煩く響いている。
「……れ、憐くんが」
そこまで言って、私は言葉を呑み込む。
駄目だ。やっぱり、本人に言えるわけがない。
そう、私が黙り込んでいると――。
「ねぇ、俺がどうしたの?」
突然憐くんが私の顔を覗き込んできて、小さく声を響かせた。