転校生は憧れの人



当然の如く驚いた私は、不意に少し後ずさる。


ち、近いよ……!


一瞬とはいえ、その距離の近さに全身が瞬時に熱を帯びた。



「え、えっと」



頑張れ私!


今こそ、勇気を出すんだ。


ゆっくり息を吐く。そして、一気に吸い込んだ。



「憐くんが、王子様だったから……」



口にした途端、顔が熱くなって目線を地面にやる。


い、言っちゃったよ。


チラリと彼に視線を戻すと、何だか不服そうな表情が私の目に映った。


ど、どうしたのかな。やっぱり、変なこと言っちゃったから……。




< 172 / 309 >

この作品をシェア

pagetop