転校生は憧れの人



「俺が王子で不安だったわけ?」


「へ?」



予想外の言葉に、私は思わず間抜けな声を上げてしまう。


違う。そうじゃないの。


不安だったなんて、そんなことある筈がないよ。



「ち、違うの憐くん。そんな意味じゃなくて……」


「じゃあ何?」



そう。私が言いたかったことは……。



「私が舞台で緊張したのも、目を開けた時に平常心でいられなかったのも、全部……。憐くんがすぐ近くにいたからで……」



ああ、もう。何が言いたいんだろう。


言葉が全然纏まらない。


このままじゃ、頭の中がパンクしてしまいそうだ。


……でも――。


ずっとずっと胸の中に仕舞い込んでいたこの思い。


今なら隠さず、ちゃんと言えるような気がするから。




「……私、ずっと前から憐くんが好きです」







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