転校生は憧れの人
「へ……?」
どうかって?
私は憐くんがただ素直に好きで、何かして欲しいとかそういうのは全くない。
それだけで、私は十分すぎるくらいに幸せなんだもん。
「べ、別に何もないよ。私が勝手に憐くんを……」
次を言おうとして言葉が詰まる。
はぁぁ……駄目だ。
一度言ってしまっても、何でこんなにも“好き”って言うのが難しいんだろう。
「ふーん。じゃあさ」
「じゃあ?」
私が尋ねると、次に憐くんはニヤリとある言葉を放つ。
それは全くの予想外で、私を一瞬にして石化させてしまった、魔法の言葉。
「一ノ瀬が俺の彼女になるってのはどう?」