転校生は憧れの人
「そ、そうだよね!」
憐くんが私を好きになって、彼女にしてくれて。
そんな夢のような話、あるはずないってわかってたのに。
……でも何でなんだろう。
私の口から溢れた溜め息は、私の悲しい心の中をそのまま映したみたいだった。
それでも、憐くんが私を形だけでも“彼女”にしてくれたことは嬉しすぎて。
私は、それでもいいかなあ。なんて思った。
「あ、じゃあまた明日」
「じゃあ」
小さく手を振り、憐くんの背中を見送る。
「ただいまー」
ドアを開けると、いつもよりほんのちょっと明るい声でそう言った。