転校生は憧れの人
――……
「おはよう、なずな!」
「おはよう!」
学校に着くと、笑顔の梓ちゃんが私を迎えてくれた。
リュックを身体から外し、椅子に座り終えたその時。
「……何か良いことでもあった?」
「へっ!?」
私を覗き込む、大きな瞳。
梓ちゃんからの突然の問い掛けに、私は素っ頓狂な声を上げてしまう。
「今日のなずな、いつもとちょっと違うもん」
「それは……」
昨日と言えば、思い出されるのはあの記憶。
ずいっと私に近づく梓ちゃんは、いつもの如く勘が冴えている。
……というか、私が分かりやすいだけなのかもしれないけど。
「教えてよー」と言う彼女に促され、私は「実はね」と、小声で口を開いた。