転校生は憧れの人
――……
「は?」
一部始終を聞くなり、彼女は信じられない様子で口を開いた。
「何それ、折角憐くんのこと追いかけて転校してきたのに、別の人を好きになっちゃったの!?」
「本当びっくりだよね」
「ってか! 何でそのことすぐにあたしに話してくれなかったのー!! もしかしてあの時!?」
「う、うん。ごめんなさい……」
突然名前を呼ばれた時は心臓が止まりそうなくらいだったけど。
あの時弥生ちゃんが話してくれたからこそ、私は勇気を出せたんだ。
「……まあ? なずなが無事でいられるなら、それであたしは全然いいんだけどさ」
鳴呼、私はなんて素敵な友達に巡り会えたんだろう……。
じーんと胸が熱くなる。
「ありがとね、梓ちゃん。大好き」
私は、涙を堪え小さくそう呟いた。