転校生は憧れの人
「この期末で点とれなきゃ、欠点とっちまうんだよ!」
……え!?
「なー頼む、なずな、梓ぁ! 一生のお願い! 俺に勉強を教えてくれー!」
梓ちゃんと私の手を取り、懇願する吉野くん。
そういえば、もうすぐ期末テストだった。
私は梓ちゃんと顔を見合わせると、互いにぷっと吹き出した。
「もーナツ、そんなことで悩んでたのー?」
「ふふふ」
「なっ! あんなぁ、俺にとっちゃあ一大事なの! 今まで欠点スレスレで、なんとかそれだけは回避してきたっつーのに。……くそぅ、何でこーなんだよ」
いつも欠点スレスレなのね。
頭を抱えて悶える吉野くんに、梓ちゃんは「勉強してないからでしょ」と、とどめと言わんばかりにさらりと言い放った。