転校生は憧れの人
「入って来て良いぞ」
騒がしい話し声を裂くように、その時ドアはガラッと音をたてた。
ドアから現れた人影。
その姿を確認するなり、周りはさっきよりももっと大きく騒ぎ立てる。
それも、女子と男子の温度差は明確で、室内は歓声に似た女子の声が男子の声を埋める程のものだった。
だけどそんな中、私は少し違ったんだ。
不意に心臓がドクンと跳ねる。
一瞬、全身に電流のような何かが走った気がした。
――うそ……。
「れ、憐くん……?」
……いや、そんな筈はない。
でも――。
呟いたと同時に呆然とする私は、ただ一点に教卓の前の彼を見つめていた。