転校生は憧れの人
「梓ー! なずなー!」
不意に名前を呼ばれ、私は瞬時に頭を上げる。
声の持ち主の彼を見ると、何やら手招きしているようで。
私はふと梓ちゃんと目配せし、ゆっくりと近付いていった。
「じゃーん!」
吉野くんの席に集まるなり、彼はざっとテストを机に広げてみせる。
全て50点以上。高得点はないものの、これならやっぱり……。
「俺、欠点じゃなくなったぜ! ほんっとーにありがとな!」
得意気に胸を張って、吉野くんはニッと歯を見せた。
「やったじゃん、ナツ!」
「おめでとう!」
私達はそう言って、喜びを共有する。
努力が実って、本当によかった。
そう、心から安心感を感じていると……。