転校生は憧れの人
ナツの発言により、咄嗟になずなを見てみる。
……確かに、彼女の荷物はどこにも見当たらない。
「え……それはあの、れ、憐くんが……」
小さく零れた声。
その瞬間、彼等の視線は瞬時に“憐くん”に集められた。
「何で憐が持ってんだよ!?」
「しかもソレ、めっちゃ重そうな……」
憐くんの右手には、彼の荷物であろう小さな鞄。
そして左手には、何が詰まっているのか、かなり大きな荷物が見受けられた。
「い、色々必要なものをつめてたら、こうなっちゃって……」
申し訳なさそうに、なずなは苦笑いを浮かべた。
何か微笑ましいなー。
2人の関係がちょっぴり羨ましい。
そう、なずなの姿を優しく見つめていると……。
「なーんかさ、憐っていっつもなずなにだけちょっと優しくね?」
突然、ナツに引っ張られたあたしと怜佑。
チラチラと2人を見比べながら、ナツは小さな声でそう言い放った。