転校生は憧れの人
――……
そんなこんなで、市民プールまで辿り着いたあたし達。
更衣室のところで、あたしとなずなは怜佑達と別れた。
「うぅ……や、やっぱり恥ずかしいよ」
外に出ようと踏み出した時、背後からか細い声が聞こえてきた。
なずなが着ているのは、薄いピンクのワンピース式の水着。
胸元のフリルや清楚な感じが、彼女にとても良く似合っている。
「大丈夫! あたしがついてるから」
「梓ちゃん……」
あたしはそう言って、なずなの肩を叩いた。
……とはいえ、そういう自分も実は相当緊張しているのだけれど。
そんなあたしの心を察してか否か。
「お互い、頑張ろうね。梓ちゃんスタイル良いから、きっと滝川くんも見とれちゃうよ!」
なずなは、そっと励ましの言葉を送ってくれた。
「そ、そうかな……。よし、じゃあ行こ!」
「うん」
なずなとともに意を決し、扉を開いた。