転校生は憧れの人



更衣室に着くなり、鞄の中から水筒を探り出す。


あたしはそれを手に持つと、皆の元へ戻ろうと足を進めた。



「ねぇキミ、よかったら俺達と一緒に向こうで泳がない?」


「へ?」



突然、目の前に立ちはだかった2人組の男。


その時あたしは完全に気を抜いていて。不意の出来事に、思わず変な声を洩らす。


1人は優しそうな顔つきで、もう1人はちょっとチャラい感じの容貌だ。


恐らく、2人とも大学生くらい。


……どうしよう、こういうの苦手なんだよね。



「超可愛いねー。何歳? 名前、何て言うのかな?」



チャラそうな男は、あたしの顔をグイッと覗き込んでくる。



「あのっ――」



“友達と来てるんで、結構です”



そう、断ろうとした時――。





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